いま大阪で一番IT化が進んでいるといわれる電気設備工事会社 株式会社セイコー様に訪問し、渡邊社長にインタビューしてきました。
IT導入が必要だった背景や、導入後にどのように変わったのか、そしてこれからITとどのように付き合っていくのか、全国設備業IT推進会に期待する役割なども伺いました。
株式会社セイコー 所在地:大阪府大阪市西成区南津守7-10-33 設 立:昭和49年4月 事業内容:リフォーム工事・電気工事・空調設備・設計・施工 http://www.seiko-e.jp/ |
株式会社セイコーさんとは、どのような会社ですか?
昭和35年創業。父親が代表就任中に入社したものの、その後独立。父親の死後、M&Aで別会社と合併させ今に至っています。
下請けをしておりましたが、第三次産業革命 (オフコンからパソコンになる)により仕事が激減。元請け仕事を目指し入札物件に挑戦し、徐々に増やしていきました。
現在は、7割が公共工事の入札物件で、3割が民間などの物件をしております。
渡邊社長の経営方針について教えてください。
元々は人を育てることを経営方針としていましたが、現在は育てるよりも育つ環境づくりに力を入れています。
システムを作り上げ、若い子が成長できるよう見守れるような環境をいかに作れるか。
スポーツでいうとユニフォームを着ないラグビーの監督を目指しています。
公共工事が 2/3 。増えたのはなぜですか?
ITをいれることにより落札件数が増えています。
設備を充実させ、効率的な作業環境を整え、いろいろな工事入札にチャレンジしました。
ITを導入し、その落札額で儲かっているかどうかをシステムで計算させています。そのプロセスをみんなが共有し、利益が出るよう内容を工夫しています。
落札できなかった案件についても原因を調査し、次の入札で落札につなげています。
IT化で会社はどのように変わりましたか?
かなりの受注があった年の半年後の試算表がマイナスでした。
なぜマイナスだったのかソフトを使いながら工事ごとに一件一件プロセスを全て分析し、原因を追究しました。
その中で、見えないところを見えるようにして、どこがマイナスなのかを経営者が口頭で伝えるのではなく、ソフトで見せるようにしました。
そこでなにがいけなかったのか、マイナスを最小限に抑えるためにどんなことを効率化したらよいか、従業員サイドで考えるようになりました。
会社全体の見える化について心がけていることはありますか?
自分達の現場は自分達で管理していけるようにすることです。
現場を見える化し、工事を担当する人たちは自分たちがいかに効率を良くできるか考えるようになり、事務所の人たちも見える化で工事内容を知り、工事担当では気づかないところをフィードバックすることにより、現場改善に一役買うなど、現場を一緒に支えるようになってきました。
IT化による働き方改革や女性の活用にもうまくつながっていますか?
女性が働く電気に関わる仕事を作ろうとしてきました。
男性ができる仕事、女性ができる仕事は何か見える化し、システムを導入することによって積算業務だったり現場の書類関係業務、写真関係業務は、当社では全て女性がやっています。
女性がこれらの業務をすることで現場の人たちは助かっていることが見えてきます。
設備業でAIはどのように活用できるのでしょうか?
AIは電気業界にとってまだ早いような気がしますね。ある程度システムに乗って仕事が確立されて、これ以上望めないところの先に可能性はあります。
将来的にはAIの活用なくしてはやっていけなくなると思います。
事業承継にもITは必要でしょうか?
ものすごく必要だと思います。
しっかりした経営者がちゃんと電気工事をやること。そのためにしっかりした積算や受注を確立していく必要がある。そしてしっかり雇用を守る。
そのためにも経営者はシステム化を図らなければいけないと思います。
私はそれを判断できる経営者を育てます。
全国設備業IT推進会についてお聞かせください。
新しいことを前向きな考え方で取り組み、提案していただいています。
新しいことを取りいれ変化していかなければいけない電気工事業界は全国設備業IT推進会がなければ成り立っていかないような気がします。